

広島県のかき養殖業者たちは、1995年から「漁民の森づくり」という活動を行っています。活動内容は、山での植樹活動。かき養殖の舞台は海にもかかわらず、なぜ植樹という山での活動を行っているのでしょうか。
広島かきの美味しさの秘密は、広島湾が養殖に最適な環境であること。それは波が穏やかである事や、筏が安全に設置できる地形であるなど様々な要因がありますが、かきのエサとなる植物プランクトンが豊富という事も挙げられます。植物プランクトンは陸上から補給される栄養塩(窒素・リン・ケイ酸など)により増殖します。その栄養塩を海に供給しているのが大田川。さらに豊かな太田川の水源となるのが中国山地なのです。

中国山地の豊かな森林は、落ち葉が分解されてできたスポンジ状の層(腐葉土層)に雨水を蓄えます。そこで、雨水に含まれているゴミを取り除きつつ、窒素やミネラルなどを補いながら良質な水を生成し、時間をかけて大田川へ流し出します。そこからいくつかの支流を経て、広島市内へ流れる京橋川、天満川、元安川などに分流して広島湾に注いでいます。こうした森本来の働きは樹木なくしては機能しません。近年、森林の荒廃、河川環境の変化が問題視されています。山と川と、そして海は一体となった関係ですから、海の漁場環境を守る為には森林の環境保全が不可欠となります。そこで、おいしいかきを作る=植樹ということになるのです。



そこにいち早く着目、植樹活動を始めたのが宮城県気仙沼湾のかき養殖業者達でした。宮城は広島に次ぐかきの生産地。その事に触発された広島市かき養殖連絡協議会(広島市内のかき生産者で組織)は1995年「緑の山で豊かな海」というスローガンのもと「漁民の森づくり」活動を開始しました。1回目は1995年3月15日。約60人が広島市安佐南区の山、1haに1200本のヒノキを植えました。それから11年、毎年同時期に植樹を行い、これまでに植えた木は約1万5850本にものぼります。広島市かき養殖連絡協議会の米田成一会長は「もちろんこれからも続けて行きます。木が育つには最低50年かかりますから、続けていかないと意味がありません。自分達の代だけでなく次世代にも引き継いでもらいたいですね」と熱く語ります。
さらに広島市かき養殖連絡協議会の活動は広島県全体にも広がりました。植樹活動初年度の翌年、1996年に広島県漁連を事務局とし、広島市以外の地域の漁協も活動を開始。2005年までの10年間で約8200本のヤマザクラやケヤキ、ブナなどを植えてきました。豊かな自然を守る為に「山や川にゴミを捨てない」など私たち一人ひとりにもできる事があります。おいしいかきを食べる為にも自然環境の保全を心がけていきましょう。

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